害虫の写真・生態
このページは未完です。気が向いたときに更新していきます。
1. ワタムシ(俗称)
ガガイモ科多肉植物(正確には旧ガガイモ科。以下ガガイモとします)を吸汁加害するカイガラムシ。おそらく、多肉栽培家の方々から「ワタムシ(綿虫)」と呼ばれている虫です。綿のような分泌物で体を覆っているため、このように呼ばれるようですが、「ワタムシ」はあくまで俗称であり、アブラムシ科の「トドノネオオワタムシ」とは異なります。カイガラムシの一種だと思うのですが、正式名称はわかっていません。
吸汁の様子
これはワタムシに寄生されたOrbeaの根。この虫は根に集中しますが、花芽周辺や茎の節に群がることもあります。数匹が鉢に入ると、1か月程度でこれくらい被害が拡大します。寄生された根は弱って水を吸わなくなり、枯死したり、傷口から腐りはじめます。写真の茶色い根は明らかにダメージを受けていて、もうカットしないといけません。この白い綿のような分泌物の中に、本体がいます。
明るい場所では常に動いているため、ちょっとぶれてしまったのが残念ですが、本体はこんな姿。どちらも仰向けになっています。ものすごく貧弱な虫で軽く突いただけで破裂してしまいますが、綿で覆われている状態では水を弾き、なかなか防御力が高いです。
明るい場所では常に動いているため、ちょっとぶれてしまったのが残念ですが、本体はこんな姿。どちらも仰向けになっています。ものすごく貧弱な虫で軽く突いただけで破裂してしまいますが、綿で覆われている状態では水を弾き、なかなか防御力が高いです。
成虫と卵(蛹)
定規と比べてみます。
大きくなると3mm程になりますので、写真の個体はまだ小さいです。有名なコチニールカイガラムシにも似ていますね。体液がえんじ色なところも似ています。でも、大きさが明らかに違います。
この写真で一番重要なのは、無数に見える茶色い半透明の粒です。これは卵か蛹だと予想しています。抜け殻かもしれませんが。いずれにせよこのカイガラムシと一緒に綿の中から出てきます。定規の目盛と比べていただきたいのですが、目視確認は困難なサイズです。綿や成虫を取り除き水で洗ってもすぐに再発生するのは、これらがどこかに残っているせいではないでしょうか。セロペギアやブラキステルマ等の塊根を形成するガガイモの鉢に再発率が高い原因は、芋のヒビなどに卵(あるいは蛹)が残りやすいからだと思います。
鉢から鉢へ移動する幼虫
再度、根の写真。淡い緑色でカビのように見える物体は糞か死骸と思われます。さらによく見ると、綿の周辺に極小の幼虫が見えます(左上)。ちょっと分かり難いですけども、薄いピンク色の粒が見えると思います。これが厄介な動きをします。
幼虫を青い丸で囲みました。丸くて大きな成虫に気を取られがちですが、綿と成虫の周囲には、この幼虫が数えきれないほど蠢いています。ルーペで観察したところ、成虫よりも機敏に動くことがわかりました。室内や、風通しの悪い場所、うす暗い場所に鉢を置いていると、この幼虫が地上に出てきます。地中で大発生している鉢を室内に移動させしばらくそのままにしておくと、植物体の表面がこの幼虫で埋め尽くされることもあります。もちろん、その鉢・植物に留まっているわけではなくて、他の鉢に移動する行動もみられました。鉢を戸外の風通しのいい明るい場所に移動すると、また地中に潜っていきます。John Pilbeamの『Stapeliads』には、「ガガイモを入手したら、1か月は既存の鉢に近付けない方がいい。薬剤散布して様子を見るべき。」という主旨のアドバイスがありました。観察していて、この忠告の意味がよくわかりました。微細な幼虫の機動力を考えると、たとえあの白い綿が見えなかったとしても、新しいガガイモの鉢は一定期間隔離して様子を見るべきですね。
尚、ワタムシを根とともに採集し容器に入れて観察していますが、今のところ2ヶ月くらい生きています。
・2014年3月6日撮影写真追加
![]() |
体長3mm程度です。一見、コチニールカイガラムシに似てますね。 |
2. ネジラミ(サボテンネコナカイガラムシ)
Rhizoecus cacticansアストロフィツムに発生
コナカイガラムシの一種
参考
・Forestryimages
mealybug (Rhizoecus cacticans ) on hamatocactus (Hamatocactus spp. ) - 5119053
・東京カクタスクラブ
害虫の生態
・多肉道 taniku-way
ガガイモのカイガラムシ
続・ガガイモのカイガラムシ
瀬川弥太郎(1969)『趣味の多肉植物』青人社
John Pilbeam(2010), Stapeliads, Hornchurch, Essex, UK : British Cactus & Succulent Society